健康 – PICTEX BLOG

尿管結石の記録

埼玉に引っ越しをして数ヶ月が過ぎ、そろそろこちらの生活にも慣れたのでブログでも書くかなと思っていた矢先、尿管結石になってしまった。

結石の痛さは「King of Pain」と言われ、陣痛にも匹敵するという。今はもう石が出て楽になったけれど、ひと月ほどはひどい苦しみを味わった。のたうち回っていたとき参考になったのは、経験者たちのブログや快復までの闘病記録だった。その時の感謝も兼ねて、自分もこのブログに記録を残しておこう。

8月の終わりに背中の違和感を感じるようになった。昼飯を食べた後、みぞおち(右側)の裏、奥の方がズキズキと痛み始める。最初は筋肉痛かと思ったが、内臓から来る痛みだと嫌なので、明日にでも医者に行こうと考えた。痛み自体は1時間ほど横になっていたらおさまった。

夕食(玄米ごはんとサンマの塩焼き)を食べた後、急に苦しさと一緒に強い痛みが襲ってきた。今にして思うと、食事をしたことで内臓が圧迫されたせいなのだろう。時間は21時を過ぎている。奥さんに近くの総合病院へ電話してもらい、症状を説明すると、結石の疑いがあるので明日になっても痛みが引かないようなら泌尿器科を受診してくださいとのこと。いままで家族にも結石になった者はいなかったし、まさか、という気がしたけれど、とりあえず症状からは命に別状がなさそうなのでそのまま横になっていた。

しかし背中の痛みはさらに強くなり、我慢が出来なくなっていく。23時くらいには強い吐き気に何度も襲われ、手足の先が痺れだしたので、これはさすがにマズいと感じ、タクシーを呼んでもらって奥さんと近く(徒歩10分くらい)の総合病院にあるERへ向かった。自室のベッドから起き上がるときは目まいで部屋中がぐにゃりと曲がり、絶望的な気分になる。玄関への階段を降りるときも転げ落ちるんじゃないかと怖かった。

病院の受付でもまったく動くことが出来ず、待合室のソファーで横になる。車椅子に乗せられてERで診察、尿検査、血液検査、造影剤CTを撮ってもらったところ、右側の腎臓の出口に結石がみつかった。石自体は小さいので、手術などはせず自然に排出するのを待つことになるだろうと言う。点滴と痛みどめの座薬を入れてもらい、今後の対応は泌尿器科の診察を受けるようにと言われる。この頃には痛み止めが効いてずいぶん楽になっており、落ちついた時点で歩いて帰宅。時間はAM2時くらい。違和感の残るままベッドへ。

翌日は昼近くになって起床。奥さんは心配して会社を休んでくれた。薬のせいで痛みはずいぶん引いたけど、起ち上がるとまだとフラフラする。タクシーを呼んでもらって一緒に昨日の病院へ。

腎臓から膀胱へと続く尿管。なぜこんなに細いのか。もう少し太ければ石も詰まらなかったのに。(ヒューマン・アナトミー・アトラス)

2時間くらい待たされて泌尿器科へ。CTの画像を見ながら診察を受ける。石は3〜4mmで、腎臓の出口付近の尿管に詰まっている。この病気は詰まった場所によって「腎臓結石」「尿管結石」「尿道結石」などと名称が変わるらしく、総称して「尿路結石」と言うようだ。しばらくは尿管を広げる薬(ウロカルン)と痛み・炎症どめ(ブスコパン)を服薬し、自然に出るのを待つことになるらしい。痛むときは頓服の痛み止め(ロキソプロフェン)を飲むか、座薬(ジクロフェナクNa)を使う。痛むことはあっても命に別状はないので、とにかく水をたくさん飲むようにと言われる。1日に2リットルくらい飲むらしい。

1週間くらいで出る人もいれば、何ヶ月もかかる人もいるので、しばらくしたらまた様子を知らせに来てくださいと言われて終了。もっと大きいサイズの場合は体外から何度も衝撃波(ESWL)を当てて粉砕したり、ペニスの先からレーザー管を差し込んで石を砕くTUL手術を行うらしい。一刻も早くこの痛みから解放されたいけど、手術は嫌なので自然に出るならそれに超したことはない。しかしすぐ近くに大きな病院があってほんとうに良かった。

それから1週間くらいは、1日おきくらいに襲ってくる強い違和感と鈍痛に苦しんだ。とくに食事の後がひどく、内臓を掴んでねじられているような痛みと不快感が続いた。固形物の食事が出来ないので野菜ジュースやカロリーメイト缶などを少しずつ飲む。

結石の痛みというのは、腎臓で出来たカルシウムの固まりなどが尿管につまり、腎臓が尿で圧迫されることから起きるらしい。実際に痛んでいるのは詰まっている場所ではなく、腎臓の出口あたりの炎症が原因となる。身体の中央部にあるのでにぶい範囲に痛みが走るのだ。

腎臓は左右に2つあるから、片方が詰まっても尿を出すという機能自体はなんとかなる。詰まった石の大きさや位置などで、痛みの出方にもかなり個人差があるらしい。自分の場合、周期的に襲ってくる強い痛みもきつかったけど、それよりも内臓をねじられているような不快感や気持ちの悪さが続くのは耐えられなかった。トイレは普通に出ているのに、ひどい便秘のようなお腹の張りもつらかった。

1週間を過ぎたあたりで、だんだん自分の身体の状況や痛みの周期がわかってくる。ありがたかったのはとにかく痛み止めがよく効くことだった。ロキソプロフェン(ロキソニン)は飲んでも吐いてしまったり、効くまでに30分くらいかかることがあったけれど、座薬(ジクロフェナクNa)はとにかく速効姓が高く、10分くらいですぅっと楽になる。一度薬を入れれば6時間は持続するので、その間はベッドでじっとしていれば我慢が出来る。食事も少しずつ普通に食べられるようになってきた。ベッドではiPadで結石のことを調べまくる。

慈恵医大のサイトでは風呂に入ると痛みが和らぐという話が載っていたけれど、自分の場合は奥さんに背中を強く押してもらった時の方が楽だった。痛みのないときはなるべく歩くようにして、とにかく水をたくさん飲んだ。しかし水を2リットル飲むのがこんなにたいへんだとは思わなかったなあ。

2週間目くらいからは、1日おきだった痛むまでの周期が、少しずつ伸びてくる。痛みのない日が何日も続き、内臓の違和感も少なくなり、痛みの場所も背中から鼠径部の方へ降りてきたような感じがする。痛みのないときは普通の生活ができるけど、尿管結石は排出までにだいたい3回くらい大きな痛みに襲われると言われている。自分の場合も1週間おきくらいに3回ほど苦しいときがあった。腎臓の出口や膀胱の手前など、尿管が細くなっていて詰まりやすい場所があるらしい。外出先であの痛みに襲われたらどうしようと思うと、なかなか遠出をする気にはなれず、行動にも制限がかかってしまう。

途中で何度か泌尿器科の診断を受ける。結石はレントゲンでは見つけにくく、エコー診断の方が確実らしい。はっきりした場所が見つけられなくても、腎臓の腫れ具合で状況がわかるという。最初の痛みから3週間を過ぎてエコー診断を受けたら、石は膀胱の手前まで降りてきているので、腎臓の腫れも引いているので、もうあとは時間の問題という話だった。

最初の発作からちょうどひと月たった土曜日、ほとんど痛みは無いけれど膀胱のあたりにチリチリとした感触があり、トイレへ行ったところ、おしっこと一緒にスルっと米粒大の石が流れ出てきた。石が出てしまえば楽になると言われていたので、大きく安堵する。石は拾い上げて洗い、ビニール袋に入れて翌週に病院へ持っていった。

病院で石の成分検査をしてもらったところ、ごく一般的なシュウ酸カルシウムの結晶であった。今後の生活や予防について医者に質問したが、やはり一般的な運動と水分補給くらいでこれといった決定打はないらしい。背中の違和感や痛みが出てきたら、早めにエコー検査を受けるといいという。

結石の大きさは約4mm。こんなものが身体の中で作られる不思議。

普段の食事は野菜もたくさん食べているし、酒やタバコもやらないので、わりと健康的だと思っていたのだが、考えてみると、この夏は猛暑だったのであまり出歩くことがなく、運動不足だったのは間違いない。それと、今思えばやはり圧倒的に水分不足だった。

わたしの水バランス」というiPhoneのアプリを使って水分補給の記録を始めたのだけど、夏の間は1日に500ミリリットルも飲んでいなかったと思う。最初にERで採血されたときに血がドロドロだと言われたので、軽い脱水症状気味だったのが原因かもしれないな。

高血圧の家系のため、ずっと降圧剤を飲んでいるので、年に2回くらいは血液検査を受けている。この7月に血液検査を受けたときは数値もよかったし、いままで血がドロドロで採血しにくいなんて言われたことはなかったので、やはりこの夏の猛暑に対する考えが甘かったのだろう。水分補給が足りないと腎臓内の濃度が高まり、結石が出来やすくなるので、ふだんからもっとたくさん水を飲んでおくべきだった。

ほうれん草やコーヒーなどに含まれるシュウ酸は取り過ぎない方がいいけれど、水溶性なので茹でてしまえば相当量が減るし、カルシウムの多いものと一緒に食べれば腸内で結合して排出されるから、普通に栄養を気にしていれば大丈夫そうだ。それよりも動物性油脂や肉などの食べ過ぎで血液や尿が酸性になることを避けた方がよさそう。あとはやはり水分補給。結石は再発率も高いので、これから気をつけていかなければ。またあの苦しみを味わうのはなんとしても避けたい。